生涯の恋人に会った。

正確には、見た。
デスクの列を何列も離れた遠くの。
以前私がいた席から。
今も彼がいる席を。

ほんの一瞬。
長くても数秒。

少し、髪が伸びていた。

前より、疲れているように見えた。

昔と変わらず、私向けのフェロモンが全開だった(苦笑)。

おかしくない?
おかしいでしょ。

会わない期間、彼をたくさん想って。
新しい恋の芽も埋もれてしまうくらいに相変わらず想って。

私は絶対に彼を美化していると思うのに。

それでも全然、実物のほうがいいんだから。
美化した彼の100倍はいい。確実に。

おかしいね。

彼の一挙一動、彼のひとこと。

そういうものが、私のなかにまた残るのが怖くて。

対照的に私は彼のなかに何も残せないことを再確認するのが怖くて。

挨拶すら、できずに帰る。

情けない29歳の、金曜。

彼の奥さんが、彼と出会って奥さんになったのは彼女が29歳のとき。
こんなうじうじした女性じゃなかったに違いない。

*****

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